こがれ死の森

2月28日、朗読士®小堀 望氏主宰「あなただけに読む朗読会」による、「あなただけに読むための朗読教室」第2回発表会が行われました。

 

『あなただけに読む朗読会』主宰 朗読士®小堀 望のブログより

「あなただけに読むための朗読教室」第2回発表会、無事終了いたしました

あなただけに読む朗読会 YouTubeチャンネル

 

 

 ★第1回発表会(2019年4月16日)の詳細と感想はこちら

「あなただけに読むための朗読教室」第一回発表会に出演します

白大島と雪女

 

 

自分で着られるわけでもなく着付けていただくだけなのに、相変わらず慣れない和装に四苦八苦。皆さんよりずいぶん遅れて到着しました。準備に余念のない小堀先生やスタッフの方をはじめ、朝からお集まりの朗読メンバーの方々に申し訳ない思いでいっぱいでしたが、みなさん温かく迎えてくださいました。

 

今回は状況を鑑みて、無観客での発表会。主宰者である小堀氏をはじめ、発表する立場の朗読者及び関係者のみが見守る中、9名の朗読とその撮影が原宿のアコスタディオで行われました。

 

 

わたしが今回朗読させていただいたのは「こがれ死の森」というお話です。静岡県安部川の支流、藁科川に伝わる伝説から書き起こさせていただきました。

 

上の画像が、木枯森(こがらしのもり)。静岡県静岡市、安部川の支流、藁科川の中州にあるこの小さな森へ行くには川を渡らないといけないのに、橋がないのだそうです。つまり、水が引いたときにだけたどり着ける森。そして、枕草子に登場する「木枯らしの森」はこの森だと伝えられるとのこと。

 

(この状況下でなければぜひ現地に行きたかった。。。

  【オクシズ・コラム⑥】民話の里をたずねて―木枯らしの森― 他、参照させていただきました) 

 

当初、わたしは朗読作品として「おりゅう柳」を考え、伝承を集めていました。

 

「おりゅう柳」は、おりゅうという美しい女性と柳の精との悲恋話です。

 ――京都三十三間堂の建立のために高い柳の木が必要になり、切り倒されようとするのだが、切っても切ってもすぐに元通りになってちっとも切り倒せないばかりか、やっとのことで切り倒したと思ったら今度は動かず運べない。呼ばれておりゅうがくると、やっと木を運び出せた。――後半このように展開するお話です。とても好きなお話で、素話で語りたいとは思うのですが、いざ朗読発表でと考えると、どのあたりにポイントをもってくればよいのか、誰の心情を表現すればよいのか、なかなかわかりません。

そこでふと思い出したのだったか、たまたま部屋の整理をしていて手にしたのだったかが、こちらの切り抜きでした。

 

 

2019年11月16日朝日新聞「天声人語」です。ここに書かれた「木枯森(こがらしのもり)」伝説に興味を惹かれ、切り抜いて保存していました。この内容だけでも、美しい女性と木の精との悲恋、地域性、家族の事情や母娘の関係など、さまざまなテーマが読み取れて、これでいこう、と決めるのに充分でした。

 

伝承なので、大まかなストーリーは同じでも、細かいところが違います。いろいろ読んでいく中で、「おりゅう柳」同様に、「切っても切っても切り倒せない」場面が出てくるものがあり、これだ、と思った途端、「木枯らしの森伝説」と「おりゅう柳」の魅力が合わさり、わたしの中でストーリーが仕上がりました。

 

さて、衣装です。苦手とはいえやはり和装でしょう。と、思い出したのが、20代からの死蔵品の中には、このときの白大島の他にあと一点、緑の色物があったはず、という記憶でした。そして出てきたのがこちら。

 

 

雪女のとき同様しつけ糸がついたまま死蔵されていたこの着物を取り出しその柄を見て驚きました。森の緑に川の青。散った娘をあらわすようなピンクの花模様。まさしく今回のお話にぴったり。不思議でなりませんでした。。。

 

写真はその着物と、イメージに合わせて作った台本です。台本の青は、着物の色柄の主張が思ったよりも強く少々悩みましたが、「ケンカせず沈み込まず主張しすぎず目立たせる」を考え選びました。帯は着付けてくださった方の推薦による青もみじの名古屋帯(レンタル品)です。お話の概要をお伝えしていたところ、はかないお話だからとこちらの帯と、おたいこを使わない角出しを選んでくださいました。何もわからないわたしは子どものようにお任せするばかり。死蔵品の着物もさほど数持つわけではありませんが、着ないからといって手放すわけにいかないこのプレッシャー。そろそろ少しは和装に真剣に取り組む必要がありそうです。

 

Ⓒあなただけに読む朗読会

 

緊張しっぱなしだった数か月を経て、朗読の撮影を終えた今、こわいような楽しみなようなこわいような(こわい×2です(;^ω^))気持ちで配信を待っています。

 

バラエティに富んだ作品の数々が、その作品を選んだ方の想いを載せた朗読によってまっすぐに伝わってくる。そんな時間をどうぞお楽しみに、配信をお待ちくだされば幸いですm(__)m