自粛につぐ自粛のおり、イベント再開のめども立ちません。
そこでしばらく本腰を入れて本の紹介をしていくことにいたしました。
まず、おはなし会に代っておすすめしたい絵本の中から特に個人的に思い入れのある絵本を紹介する「えほんとわたし」。
そして、(ミニ)ビブリオバトルに倣いテーマを決めて「しゃべれば3分」の分量と重量で紹介する「本談義」。
今後このどちらかを随時アップしていこうと思います。よろしければおつきあいくださいませ。
『おこだでませんように』
くすのき しげのり / 作
石井 聖岳 / 絵
小学館
私的おすすめ対象年齢 6歳~大人
ぼくは いつも おこられる
いえでも がっこうでも おこられる
ぼくは……「わるいこ」なんやろか……
けっして悪気はないのに、やることなすことおこられてばかりの男の子が、たなばたの短冊に書いた「いちばんの おねがい」。精一杯の祈りの言葉が、大人の心を大きく動かします。
作者のくすのきしげのり氏は、実際にこう書かれた短冊を見て「涙が出そうに」なり、子どもの感性に思いを馳せてこのおはなしを書いてくださったとのこと。氏は他にも多くの子ども目線の作品を発表してくださっています。
我が子が卒業した中学校のPTAサークルにOBとして在籍している関係で、中学生へ向けての読み語りの時間にも参加させていただいているのですが、この『おこだでませんように』は中一の教室で読む定番本となっており、おかげさまでわたしもこの本を知ることができました。
ところが、親として、また特に息子を持つ母の身としては、紹介したい気持ちはあれど、あまりにも身につまされすぎて涙が抑えきれず、しばらくはなかなか読み聞かせすることができませんでした。どうしても声が詰まってしまうからです。
わたしもかつて小学生の息子に対して「この子はなにかしらやらかしているに違いない」といった気持ちでいた気がします。おだやかな笑顔で彼を迎えることはほとんどなかったことでしょう。
ほんまは ぼく、「ええこやねえ」っていわれたいんや。
けれど、おかあちゃんも せんせいも
ぼくを みるときは、いつも おこった かおや。
つ、つらい。。。
読み語りの後、生徒のみなさんから感想文を頂戴しますが、この『おこだでませんように』へは、さまざまな立場に想像を膨らませた感想が寄せられるため、毎回メンバー全員感嘆します。「おこられてばかりの男の子」の気持ちにシンクロして気持ちを吐露する子もいれば、「おこられてばかりの男の子の妹」の立場で複雑な思いを吐き出す子。あるいはまた、おこってしまう「親」の立場に思いを馳せる子もいます。この絵本には大人からも子どもからも本音を引き出す力があるのだと感じます。
さてここで、少々ネタバレになってしまうかもしれないのですが、最後の方のページに「おりがみがじょうずになりたい」と書かれた短冊が描かれていることにも着目していただきたいと思います。最初の方で「いもうと」と遊んであげようと折り紙に四苦八苦した男の子が書いたものでしょう。
実は外出自粛の昨今、我が子が小さい頃のプリント類を片付けていたところ、なんと似た(同じ?)ものを発見してしまいました💦
な、泣ける。。。。